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2026-02-07

衆院選を前にして

投票日・開票日が明日に迫っている。 もうすでに期日前投票を済ませた人も多いと思うけれど、整理と記録も兼ねて、 結果がわかる前に自分の考えを文章として明示しておきたい1。 読む人も少ないと思うけれど(そこのあなた、ありがとう)、話半分でお願いします。 なにか正解を示したり、新たな視点を持ち込むことを目的としたものではないです。投票先にはまだ迷いがあります。

大枠

自分の理想とする政治像は、とにかくこれに尽きる。

そのうえで、社会情勢についていま自分が抱いている不安は、以下に集約される。

このふたつについて、順に検討していきたいと思う。

社会をどう着地させるか

人口減少

深刻な人口減が進んでいるいま、人を増やすことができなければ、 ひとりの生み出す富を増やすか、なんとかやりくりする術を身につけるしかない。

そして、もちろん、その状況のもとでも経済成長が続けていけるなら、それに越したことはない。

経済成長と労働者

ただ、単なる経済成長が私たちの豊かさに直接繋がるわけではない。 たとえばここ30年、企業の経常利益は右肩上がりで、株主への配当も増えている。しかし賃金のみが横ばいである。 (1998-2023で、株主還元は8倍、経常利益は5倍に増えたが、賃金は1.08倍にとどまる2

また人手がどんどん減っていく中で、金融所得にシフトしていくのは得策でないと思う3。 もちろん、株や融資などによって、世界に流通する資産の総額は増える。 ただ、そうやって見かけ上の経済成長を演出しても、足元の強さにはつながらない。 株主が勝つ社会は、労働者はもちろん、まともな資産形成ができない若者が苦しむ社会でもある。 だから、こういった世界観には同調できない4

だからまあとにかく、たくさんの人が安心して働ける社会をつくるべきである。 そのためにはなによりも、足元の賃上げが必要だろう。 そして、経済成長の結果としての賃上げを待つのではなく、 まず賃上げが先行するような圧力が必要なのではないかと思う5。 労働者からのボトムアップの圧力がのぞましいけれど、最低賃金の引き上げなど政府の主導が必要に思える。

自分としては、自民の、日本を再びグレートに、という世界観には同調できない。 円安とインフレを容認した先にある株高が、日本の経済にプラスであるとは思えないし、 最低賃金の引き上げにも後ろ向きな態度をとっている。 この意味では、労働者政党としてのバックグラウンドをもつなどし、再配分を重視する中道・国民・共産・社民やれいわの立場が近い。

消費減税

これについては正直よくわからない。 所得税等を中心とするほうが再配分に資するし、 また政府としても所得を増やすインセンティブになるのではないかと思っているけれど、 消費税が圧倒的な安定財源であるのは間違いないし、どの消費税率が適切なのかもわからない。

中道のジャパンファンドは、GPIFの運用成績がよいというのは認めるとしても、 インフレや為替変動への対応策である投資・外貨準備を目的外利用するという点で、 「外為特会でホクホク」との差があまりわかってない。

手取りと賃金

労働者が使える額を増やすことはとても重要である。 しかし手取りを増やす=減税なので、その財源をどうするか…と言われるとこれも正直よくわからない。 ただ、そもそもの賃金が増えない限り、結局投資家有利な状況が続き、働くことの魅力が相対的に下がってしまう。 この意味で、自分としては手取りアップより賃上げのほうが魅力的に映る。

再分配と最低保証という意味で、給付付き税額控除はいち早く国会審議を通過してほしいと思っている。 これは多くの政党が賛意を示しているし、首相も成立に乗り気なので、ぜひ実現してほしい。

効率化という道

チームみらいは成長・再配分というより、「効率化」を前面に掲げていることが特徴的だろう。 とはいえこれも経済成長と同じで、何をどのような目的で効率化するかがきわめて重要であると思う。 科学技術や工業が発展し、圧倒的な「生産性」を誇るようになった現代でも、 8時間労働は維持されていて、労働者の地位が向上したわけではない。 つまり、何を効率化し、その恩恵をだれが受けるかを明確に設計しなければ、わたしたちにとってよりよい社会にはならない。 この立場を曖昧にしている(し、明確にしたとしても自分のスタンスとは一致しなさそうに見える)点で、 チームみらいを正面から肯定することはできない。

国際情勢

ロシアはウクライナを侵攻し、イスラエルはガザを破壊し、中国も力による現状変更を匂わせている。 そして、「世界の警察官」を辞めたあともそのプライドは保つであろうと期待されていたアメリカが、 国際情勢を乱し、傍若無人な行動を繰り返している。

非核三原則

とはいえ、ここで核の保有や共有を持ち出すのは明らかに間違っている。 たしかに、「核抑止」論には一定の魅力があるし、冷戦時代においてこれが正気を取り戻すために何とか機能したことは否定できない。 しかし、今は冷戦期ではないし、 核抑止で戦争の発生を引き伸ばした先に、平和の光が見えるとは思えない。 核戦争で取り返しのつかない憎しみを生み出すか、絶え間ない外交努力による核軍縮の負担を次世代に残すだけである6

そのうえ、唯一の戦争被爆国である日本が、そのような立場をとることは、かえって自身の発言力を大幅に下げることにつながる7。 核を容認するような態度をとることは、日本の立場を明確に見誤っていて、現実的ではない。

「抑止力」

自衛隊や憲法9条はどうか。これも「抑止力」の観点からよく検討される。 最低限の武力が必要であること自体はもうほとんど争いがないように思えるけれど、その範囲がやはり問題になる。

まず、専守防衛の原則は堅持すべきだと思う。 抑止力のためには「殴られたら殴り返すぞ」といえば十分で、 「それに、こっちから先に殴ることもできなくはないし」と付け加える意味はない8

もし仮に、「実戦経験」がほしいのであれば、国連平和維持活動など世界の公共のための任務に限るべきだろう。 自衛隊の地位向上は、蛮勇を振るったり、アメリカに同調して力を誇示した先にはなく、 災害派遣や人道任務への従事で地道に信頼を積み重ねた先にしかないと思う。

憲法9条を改正するのであれば、これらの原則を再確認したうえで、 シビリアンコントロールなどの民主的統制手段を書き込むことが最低限の条件になると思う。 改憲断固拒否とは思わないけれど、人権規定の軽視も含めて勇み足の議論が幅を利かせる現状では、変えないほうがマシに見える9

これらの観点からは、核保有や共有に前向きな維新・参政などは選択肢から外れる10。 不用意な発言で緊張を高める自民総裁も国防を任せるには頼りないし、国旗損壊罪やスパイ防止法を重点政策とする姿勢も相容れない。 着地点としては中道・国民あたりになると思うのだけれど、バランスをとるという意味で共産に肩入れする気持ちもある。

さいごに

自分のスタンスとしては、再配分を重視して労働者のはたらきやすい世界をつくりつつ、 あんまり勇ましいことを言って原則をおろそかにするのはやめようよ、ということだと思う。

ただ、種々の論点があるにしても、ひとりひとりが幸せな社会をつくる、という目的は忘れてはならない。 その意味で、同性婚をはじめ重大な人権にかかわる部分は党派を超えて協力するべきであろう。 成長を重視しようが、再配分を重視しようが、効率化を重視しようが、 その揺るぎない目標は変わらないと思っています!!!!


Footnotes

  1. 本当は、個人の技術ブログサイト的なものとしてはじめたかったけど、これが初投稿になってしまった。 ただタイミングもあるし、なんだかんだこういう文章を書くのは好きな気がする。 その他のきっかけはありつつも、 The Blue Envelopeを読んで急いで書いたものなので、 節々の表現に影響があることは否めませんが、内容としてはあくまで自分が書き溜めた個人的メモを出発点にしています。

  2. このデータは中道改革連合の政策プレゼンから引いてきたやつだけれど、 この傾向それ自体については他政党含め争いはない(はず。本当はちゃんと裏付けしたい)

  3. もちろん、個人の戦略として有効というのはわかる

  4. 個人に投資を呼びかけることの目的のひとつは、貯蓄されてしまうお金を市場に再度引き出すことにあるから、 貯蓄より多少有利である程度でさえあればいい、と思っている

  5. トリクルダウンの失敗が念頭にある

  6. おととい新STARTが失効したけれど、これにかわる新たな合意が定められる道筋はまだ立っていない

  7. たとえば、日本は毎年、国連総会で核兵器廃絶決議案を提出している

  8. これに対して「抑止力だけでなく、交渉における発言力強化に必要なんだ」というロジックがあること自体は理解できるけれど、 力による現状変更を容認する態度と差異がないように見えて賛同できない

  9. SNSでの議論過熱はもちろん、自民党の平成24年憲法改正草案も、参政党の新日本憲法構想案も、かなりひどい

  10. 「核共有検討」維新91% 自民「保有・共有せず」半数 候補者アンケ | 毎日新聞